【改正前の税法上の定義】
試験研究費の額とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額をいう。ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額が試験研究費の額となる。
【改正内容】
上記にあるように、これまでの製造業を中心としたモノづくりに係る試験研究に加えて、ビッグデータ等を活用した「第4次産業革命型」のサービス開発を追加。
・センサー等による自動的な情報の収集
・専門家による情報解析技術を用いた上記の情報の分析
・上記の分析により発見された法則を離床した新たなサービスの設計
・上記の法則及び新たなサービスの妥当性等の確認

この改正は、官民の研究開発投資を2020年に対GDP比4%以上とする政策目標の着実な達成のため、支援の仕組みを見直したことによります。
従来、青色申告者が試験研究費を支出した場合で一定の要件を満たした場合には、その事業年度の法人税額(個人の場合は所得税額)から控除することを認める制度で、①総額型、②増加型、③高水準型、④オープンイノベーション型の4類型で構成されていました。今回の改正によって、増加型を廃止した上で、総額型に投資増加インセンティブを取り込み、試験研究の増減率に応じて6%~14%の範囲で税額控除率を設定することになりました。さらに、高水準型の適用期限を2年延長(平成30年度末まで)し、オープンイノベーション型の手続要件を、企業実務に合わせて緩和し使い勝手の向上を図っています。
加えて、中小企業向け支援の強化として、従来の控除率12%、控除上限25%を維持した上で、試験研究費が5%超を増加した場合に、控除率を最大17%とし、控除上限に10%上乗せする仕組みを導入しました。
(経済産業省HP)

ちなみに、税務上の試験研究費と、会計上の研究開発費は定義が異なり、範囲も違います。
会計上の研究開発費は、「研究開発費等に係る会計基準」によると、研究とは、新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究をいい、開発とは、新しい製品・サービス・生産方法についての計画若しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化することをいう。とされています。
上場会社などの決算書には、会計上の研究開発費の額が注記されていたりしますが、税法上の試験研究費ではないので、留意が必要です。