新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却

開業するにあたり、自宅の一部を店舗と兼用とされるかたも多いかと思います。
この場合、その店舗スペースに係る分の減価償却費を経費とすることも可能とされています。

1.新築で購入した家屋等を業務の用に供した日における未償却残高相当額の計算(国税庁HP(No.2109)より

家屋や自動車のように使用や期間の経過により減価する資産で、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供していないもの (以下「非業務用資産」といいます。)を、これらの所得を生ずべき業務の用に供した場合の減価償却費の計算は、 まず、非業務用資産として使用していた期間における「減価の額」の計算を行い、この「減価の額」を その資産の取得価額から控除した金額(以下「未償却残高相当額」といいます。)をその業務の用に供した日におけるその資産の未償却残高とします。
次に、この未償却残高を基礎として、その業務の用に供した後の減価償却費の計算を一般の場合と同様に行います。
この資産の取得価額から、その資産と同種の減価償却資産に係る耐用年数に1.5を乗じて計算した年数により 旧定額法に準じて計算した金額に、その資産の業務の用に供されていなかった期間に係る年数を乗じて計算した金額を控除した金額です。

※1:業務の用に供されていなかった期間に係る年数に1年未満の端数があるときは、6月以上の端数は1年とし、 6月に満たない端数は切り捨てます。
※2:1.5倍に相当する年数に1年未満の端数があるときは、1年未満の端数は切り捨てます。

例)
建物未償却残高の算定 建物取得価額 30,000,000円
業務の用に供されていなかった期間 平成22年4月~平成28年2月 = 5年11か月 → 6年(6月以上の端数は1年)
耐用年数 木造住宅22年→「22年×1.5倍=33年」

35,000,000 ー (35,000,000 × 0.031(旧定額法の償却率) × 6年)= 28,490,000円

2.平成28年の減価償却費

28,490,000円 × 0.031(※定額法の償却率) × 10か月/12か月 = 735,991円

※平成19年4月1日以降取得(業務用に転用した日ではなく、新築取得した日)の建物のため

家事と事業の比率が7:3とすると、735,991円 × 30% = 220,797円が経費として計上できます。

ただし、住宅借入金等特別控除の適用をされている場合には注意が必要です。 上記の例も5年11か月での転用しているので、 10年間の特別控除を適用している最中かもしれませんね。 事業比率が10%未満であれば、特別控除を100%適用できます(租税特別措置法41-27、41-29)が、 それ以上の場合には特別控除額が減少してしまうので、 どちらが有利か、節税効果の比較検討が必要です。