固定資産などの償却資産を購入した場合、取得時に全額経費処理することはできません。減価償却という方法によって、数年にわたって経費処理されることになります。

固定資産などの購入を検討する場合、ある程度の期間使用し続けることが前提で投資をされると思います。しかし、その購入年だけに購入金額全額を経費処理を認めてしまうと、その年の経費負担が重くなる一方、それ以後は経費負担が逆に軽くなるので、業績の正しい把握ができません。さらに、税金の負担も購入年とそれ以後で歪(いびつ)になってしまいます。このようなことは会計上、税務上から認められません。
そこで減価償却という方法で、数年(耐用年数)にわたって経費処理されることになるのです。
この減価償却の方法について、原則は定額法となります。この定額法とは、毎期一定の均等金額を耐用年数にわたって経費処理する方法です。
一方で、定率法という方法も認められています。この定率法とは、毎期期首未償却の残高に一定率を掛けた分だけ経費を計上する方法で、最初のうちは経費に計上できる金額が大きく、だんだん小さくなっていく方法です。
(例)複写機の35万円購入(1月1日から使用) 耐用年数:5年

定額法の場合 → 350,000×0.2=70,000円
定率法の場合 → 350,000×0.4=140,000円
【結果】初年度は140,000-70,000=70,000円定率法を選択したほうが、経費を多く計上できるので節税でき、有利。
(ちなみに、2年目は定率法が(350,000-140,000=210,000(未償却残高)×0.4=84,000円となり、2年目も定率法が有利)

(しかし、3年目以降は定額法のほうが有利となり、逆転します。)
(定額法でも定率法でも、耐用年数全体を通しての償却総額は結果として同じになります。)

以上より、どちらを選択するかによって経費と認められる配分期が異なるだけ、ということが分かると思います。
どちらが良いかどうかは、各自の投資額、業績、将来計画によっても違うと思いますが、検討する余地はあると思います。

定率法を選択したい場合には「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」の届け出が必要です。新たに開業した方だけでなく、既に取得している減価償却資産と異なる種類の減価償却資産を取得した方又は従来の償却方法と異なる償却方法を選定する事業所を新たに設けた方は、手続対象者として、当該届け出によって減価償却資産の償却方法を定率法にすることができます。(届け出をしない場合には定額法になります。)また、減価償却の種類(機械装置、車両、器具備品など)ごとに減価償却の方法を選択できます。

ただし、平成10年4月以降取得した建物や、平成28年4月1日以降取得した建物附属設備や構築物については、定率法の選択ができませんので、注意が必要です。

提出期限は、手続対象者となった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください。