近年、高齢化による人口構造の変化、地域社会や家族の変容等により、福祉ニーズが多様化し複雑化しています。
そこで、社会福祉法人は中心的な担い手として役割を果たし、他の営利企業では対応が困難な福祉ニーズに対応する主体として、重要性が高まっています。
一方で、一部の社会福祉法人における不適切な運営に対して是正するような指摘がなされています。
そのような中、平成28年に成立した改正社会福祉法に基づく「社会福祉法人制度改革」が平成29年4月1日に本格的に施行されました。
従来と比較して大きく変わっているのが、ガバナンスの強化です。
ガバナンス制度とは、事業目的の達成のため、意思決定の透明化を図り、理事の業務執行の適切性を担保し、理事や職員への監視を十分に確保するための仕組みをいいます。
従来、任意の諮問機関であった「評議員会」が必置の最高意思決定機関とされました。これは理事・理事長に対する牽制機能を持たせるため、法人の重要事項を決議するものであります。
また「理事会」を業務執行の決定及び理事の職務執行の監督機関とし、代表権を理事長のみに付与することとなりました。
「監事」については権限を明文化して強化しつつ、理事会への出席義務など責任も増しました。
最後に従来会計監査は一部の法人において任意で実施されていたものが、一定規模の法人には会計監査人の設置が義務付けられました(平成29年度は前年度の収益額が30億円又は負債60億円を超える法人)。
また、会計監査人を設置しない法人においても、会計の専門家を活用して財務会計に関する事務処理体制の向上に対する支援や財務会計に関する内部統制の向上に対する支援を受けることが望ましいとされています。