個人事業主が開業するにあたって、開業届を税務署に提出することになりますが、開業する前にも準備として色々な出費があると思います。
例えば、建物等の賃借料、電話、インターネットなどの通信費、事務用購入した消耗品の購入費、電気・ガス・水道料などの公共料金、保険に関する費用、広告宣伝費等々の経費が掛かってくると思います。

繰延資産(開業費)の償却費の計算については、5年(60か月)の均等償却又は任意償却のいずれかの方法によることとされています(所得税法施行令第137条第1項第1号、第3項)。
任意償却は、繰延資産の額の範囲内の金額を償却費として認めるもので、その下限が設けられていないことから、支出の年に全額償却してもよく、全く償却しなくてもよいと解されます。
任意償却が可能な繰延資産の未償却残高はいつでも償却費として必要経費に算入することができます。
また、繰延資産となる費用を支出した後、60か月を経過した場合に償却費を必要経費に算入できないとする特段の規定はないことから、繰延資産の未償却残高はいつでも償却費として必要経費に算入することができます。
なお、支出した開業費の内容及びその開業費の額が過年分において必要経費に算入されていないことを明らかにしておく必要があります。

税金負担の効果を考えて、償却のタイミングを検討することをお勧めします。