今日から8月になりました。
ちょうどひと月前の2019年7月1日に施行された民法の相続に関する規定をもう一度おさらいしましょう。40年ぶりの民法大改正であり、主なものは覚えておく必要があるでしょう。

  1. 遺産分割の改正
    ●預貯金の仮払制度・・・遺産分割協議の最中であっても、相続口座から一定額を引き出せる=生前の入院代金や葬儀代金など急を要する費用の支払いに有効
    ●結婚後20年以上経って、自宅を配偶者に生前贈与していた場合、その分は相続時に遺産分割の計算から外す=長年連れ添った夫婦の取り分を優先的に確保する
    ●相続人の一つが遺産を使い込むなどして遺産配分が偏っている場合、他の相続人全員の同意のもと、使い込まれた分を遺産分割の対象にすることが可能に=不公平をなくす
  2. 遺留分についての改正
    ●法定相続人は、遺産をもらえる最低限の割合が保障されている(遺留分という)。遺産配分に偏りがあった場合、配分が少ない他の相続人は遺留分侵害額請求権が認められ、配分の多い相続人に対して「現金」で払うように請求可能=「現金」返還を明文化し、争いの早期解決を図る
  3. 特別寄与料の新設
    ●義理の父を介護していた、嫁(法定相続人ではない)も貢献分の財産を貰う権利=貢献が報われなかったことに対する配慮
  4. 相続と登記
    法定相続分を超える相続を受けた者は,法定相続分を超える部分については相続登記等の対抗処置をとっておかなければ債権者等の第三者に対抗することができない=被相続人の登記名義のままにせず、権利者と登記の一致を図る
  5. 遺言執行者の権限明確化

 上記の他に、既に施行済みの、自筆証書遺言の改正(パソコンでの作成可)や、2020年4月に施行の、配偶者居住権の改正(配偶者の生活の安定化)があります。
知っておきましょう。