2018年7月31日に金融庁の公認会計士・監査審査会は、2018年版モニタリングレポートを公表しました。上場国内会社で2018年6月までの1年間に監査法人を変更した企業数は116社となり、3年連続で100社を上回りました。その内、大手監査法人から準大手監査法人や中小監査法人に変更する動きが明確で、大手が51社減少したため、その分、準大手19社/中小32社の増加となっています。
監査業務が複雑化するなか、大手監査法人からの監査報酬の増額要求があり、折り合えないケースが増えているためと考えられます。近年、東芝の不正会計問題などを受けて、大手監査法人は監査体制のさらなる強化をしています。会計不正のリスクや内部統制に課題を抱えたりしている企業の監査を引き受けるには、それ相応の体制を整える必要がありますが、会計士の人員不足もあり、思い通りにはいっていないようです。
一方で、企業側も容易に監査報酬の引き上げに同意することはできないため、監査法人を大手から準大手や中小に変える動きに拍車をかけていると考えられます。